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国際動向特集 SDGs OWG8 Report from NY

 2月3日から7日まで、ニューヨーク国連本部にてSDGsの第8回公開作業部会(Open Working Group8;以下OWG8)が開催されています。進行としては、朝9時から10時にモーニング・ヒアリングと呼ばれるステークホルダーダイアログのセッションが、午前中(10時~13時)と午後(15時~18時)にメインセッション(各テーマの専門家によるキーノートスピーチと、それに対して加盟国(委員)が意見するインタラクティブセッション)が開催され、合間の時間(昼と夕方)に複数のサイドイベントが行われています。
リオ+20の会合同様、女性メジャーグループは連日朝の戦略会議を連日設定し、モーニング・ヒアリングでのスピーチ内容や各国の動きを共有し合っています。参加者は約40名。南北アメリカ、アフリカからが多いです。メジャーグループからのプレゼンテーションでは女性グループからのものが非常に情熱的で心を動かすものがあると、共同議長からもコメントがありましたが、一方でモーニング・ヒアリングには各国政府はほとんど参加していないのが実状。プレゼンの内容は国連のWebサイトに掲載されるそうですが、果たしてどこまでその声が受け入れられるのかと疑問視する声もあがっています。

 また、キーノート・スピーチについては、各分野の専門家を招いているため情報が豊富で興味深いものがありますが、一方で、そういった知見を持続可能性の課題解決に結びつける上での社会的視点(例:コミュニティでの優良事例の紹介など)の共有がより多く盛り込まれたものだとよかったのに、という声もありました。各国の発言も課題の重要性について述べたものが多く(発言内容にほとんど差が出ない)、解決策に向けた提案部分が薄いという印象です。交渉ではないため、会合そのものも定刻で終わり、全体的に緩やかな雰囲気の中会議が進行しています。日本からは、南審議官から、生物多様性に関連して、既存の合意事項を考慮しつつ、総合的に整合的な議論を持つことが必要であること、里山イニシアティブの掲げるような二次的自然の持続可能な管理や利用の推進、社会科学的、ESD(持続可能な開発のための教育)の視点を持つことの重要性などについて発言がありました。

2月3日には、日本と韓国(今年開催されるCOP12の主催国)、ならびにIUCN(国際自然保護連合)の主催、生物多様性条約事務局のコーディネートによる「Why Biodiversity is Essential for Social and Economic Aspect of Sustainable Development(何故生物多様性が持続可能な開発の社会経済的側面において重要なのか)」というサイドイベントが開催され、100人ほど入る会場が満員になるほどの来場者がありました。ベニン、ドイツ、インド、ブラジルから短いプレゼンテーションがあり、自然資本として生物多様性を捉えること(ドイツ)、小島嶼開発途上国(SIDS)はもちろんのこと、多くの国々の経済が生物多様性に依拠したものであること(条約事務局)などといった点が指摘されました。今年10月に韓国で開催されるCOP12のテーマが「生物多様性と開発」ということもあり、今後、生態系全体を統合的に捉える「エコシステムアプローチ(参考:http://www.biodic.go.jp/cbd/pdf/5_resolution/ecosystem.pdf
の視点から、人間活動への影響を踏まえた情報発信や議論が更に進むことが期待されます。


 5日朝はみぞれまじりの雪による悪天候で国連の開館が午前11時なるなど緊急事態があり、ジェンダー平等に関して、女性メジャーグループが用意したプレゼンテーションの発表の機会が損なわれてしまいましたが、全体の進行としては概ねスムーズなようです。

 今後の進行についてですが、4日の夕刻、短いインフォーマルセッションがあり、共同議長より、これまでのOWGの議論をとりまとめた文書が2月14日に公開されること、また
SDGsのターゲット設定の議論のベースとなる、優先事項を取りまとめた文書が2月21日に公表されることが発表され、その場で合意されました。OWG8以降のメジャーグループの参加についても、会期中に話し合う場が持たれる予定です。

 会議中の発言については、UN Sustaianble Developmentのツイッターアカウントが要約を発信していますので、ご関心のある方はご参照ください。https://twitter.com/SustDev
OWG8のレポートや関連文書は以下のサイトからご覧いただけます。
http://www.iisd.ca/sdgs/owg8/
(ニューヨーク:2月5日、今井麻希子)