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イベントレポート–SDGs勉強会@GEOC

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イベント報告:SDGs勉強会 「国連総会報告-リオ+20後の環境国際交渉のゆくえ」(環境パートナーシップ会議主催)

 去る9月にニューヨークで、国連総会に合わせてポストMDGs・SDGsに関わる「MDGs特別イベント」や、それに前後して多くのCSOの会合が開催されました。また、リオ+20の決定のフォローアップである最後のCSD(持続可能な開発委員会)、ハイレベル政治フォーラムなどが開催されました。会合に参加したNGOから、NYで行われた国連の議論や市民社会の反応に関して報告するとともに、リオ+20以降の環境国際交渉の行方や市民参加のあり方に理解を深める勉強会が開催されました。
 この勉強会では、まず3名の方に国連総会および市民社会における議論を報告して頂きました。次に、「地球環境戦略研究機関(IGES)」のサイモン・オルセン氏より、SDGs/ポストMDGsについて話題提供を頂きつつ、フロアとの意見交換が行われました。最後に、四国および中国地方における取組の紹介がありました。
以下に各発表者の発表内容および意見交換の内容を抜粋してお伝えします。


1.国連総会での議論・市民社会の議論などの報告
(1)国際協力NGOから見た MDGs特別イベント 発表者:稲場雅紀氏(動く→動かす)
・MDGsは成果を上げている。例:保健分野。MDGsが始まってから保健分野の投資が増え、紛争の数・戦死者数も減っている。
・目的を達成していない国・分野もあるが、MDGsによって大きく取り組みは前進したと言える。
・世界が直面する脅威の違い:2000年頃は緊急性の高い課題が多かった。現在は慢性的で構造的対処が求められるものへと質が変化した。
・世界的な経済・援助システムが大きく変わった。したがってポストMDGsが必要。
・ポスト2015開発アジェンダ策定プロセス:SDGsの検討が本格化し、開発NGOとしてもSDGを考えないといけなくなってきた。SDGsは政府間交渉なので何が出てくるか不透明。
・MDGsの良い所は、8項目のシンプルな目標であること。SDGsがもし大部のものになったら、注目されなくなってしまうのではないか。
・開発の視点から見てSDGsの何が論点か?
 カギとなる課題とコンセプト:1)「極度の貧困を根絶する」「極度」とは?線引きした以上の所得であれば無条件に極度の貧困ではなくなってしまうのか?2)富の集中と格差拡大に対抗するアプローチが取れるか?3)先進国の「生産と消費のあり方」の見直しが適切にできるか?
 取り組まれる主要な課題の設定:1)旧来MDGsの課題はどうなるか?2)新たな課題の導入、3)SDGsとポストMDGsの統合はどうなるか
 グローバル・カバナンス:1)「共通だが差異ある責任」原則は?2)途上国の主体的関与、3)公的資金vs民間資金⇒開発アクターとしての民間セクターの役割。民間セクターは基本的には利潤追求であるが、貧困問題は市場性のない場所だから、どう民間セクターが深く関わっていくか?
・ナショナルコンサルテーションを2月~5月に行い、様々な団体からヒアリングを行った。そこから「五か条の提言」を策定した。
・国際開発NGOのサイドイベントは、より本格的な準備が必要であると感じた。
・日本NGOはこれまでのように国内のまとめだけやっていても世界を変えるムーブメントは起こせないのではないか。もっと覚悟を持つことが大切。

(2)最後のCSD(持続可能な開発委員会)と最初のハイレベル政治フォーラム、Peoples Assemblyなど 発表者:江口健介(EPC)

<CSD20>
・CSDの課題:合意に時間がかかる。合意できない。
・CSD20(第20回期)で最終回。20年間の成果・課題を振り返り、後継機関(ハイレベル政治フォーラム)にどのように引き継いでいくかが焦点。
・日本政府見解:CSDは持続可能な開発の概念を広める役割を果たしたが、持続可能な開発を実現するには至らなかった。実行手段へのフォーカスにかけていたため、交渉に長時間を費やしたのではないか。
・NGOの意見:持続可能な開発に失敗したのはCSDではなく、政府。メジャーグループを通じて14,000人の市民社会メンバーがCSDに関わることができた。

<ハイレベル政治フォーラム(HLPF)>
・ハイレベル政治フォーラム(HLPF):ポスト2015開発アジェンダのフォローアップを行う。9/23第一回目開催。年1回大臣級会合。4年に1回首脳級の会合を開催予定。
・日本政府:国際的枠組みへ積極的に参加する。
・省エネ、再生可能エネルギー、防災などで途上国支援。
・持続可能な都市づくりに関する国際会議@北九州(2013)、ESDに関する国際会議@岡山・名古屋(2014)、防災に関する国際会議(2015)


<サイドイベント>
・Youth Blast2013:Major Group for Children and Youthが主催するユースの会議。世界中から約50名が参加。ユースとして何ができるか議論した。
・People’s General Assembly on Development Justiceも開催された。

(所感)
・日本政府としては防災に力点を置いているようである。
・「気候変動」→「再生可能エネルギー」、「生物多様性」→「自然資源」というような、言葉の置き換えとも取れる表現が多かった。
・ポスト2015開発アジェンダと現行の環境条約の整合性が今後課題になる。

(3)持続可能な開発に関する資金枠組み、SDGsオープンワーキンググループに関する情報提供 発表者:小野田真二氏(「環境・持続社会」研究センター(JACSES))

・SDGsオープンワーキンググループ(OWG)は、当初今年の国連総会までに報告書を提出する予定だったが、大幅に遅れている。
・メジャーグループはOWGの中で公式オブザーバーとして発言機会がある。
・「その他ステークホルダー」として、地域社会、ボランティア団体・財団法人、移住者・家族、高齢者や障害を持つ人々、も参加を認められている。
・OWG進捗レポート:1)目標の下にターゲットと指標を設定。ターゲットは国ごとに異なる必要がある、2)人権、ガバナンス、法の支配、意思決定へのより幅広い参加といった目標は数値化が難しいかもしれない、3)SDGsに実施手段の規定を含む必要性、4)数値化されたターゲットを持つこと、またそのためのデータ収集と統計能力を持つことが必要、など
・コロンビア・グアテマラ政府によるDashboard Conceptの提案:各目標は国際レベルで合意の取れた中心的なターゲットと指標を持つが、各ターゲットのスピードやレベルは各国によって決定される。
・SD資金に関する専門家による政府間委員会:1)2013年8月第一回開催、2)特定課題について話し合うクラスター会合の存在、3)2014年までに国連総会議長に対し、効果的なSD資金戦略の選択肢の提案を含む報告書を提出、4)ステークホルダーは文書での意見表明と地域会合への参加、各会合期間中に対話の機会、5)日本からは相星孝一国際協力審議官が出席、など
・ハイレベルパネル報告書概要:1)2030年までに地球上から極度の貧困撲滅を目指す、2)5大変革の必要性、3)12の目標と54のターゲット案、4)第12項で「開発に資するグローバルな環境整備と長期的資金の動員」


(今後に向けて)
・OWGと資金委員会の報告書は統合的なものになるのか、別々に出されるのか?
・まだ抽象的な議論であるSDGsの議論と並行して行われる資金委員会で、具体的数値が出てくるのか?
・条約ごとに定められている資金メカニズムとの整合性をどのように取るのか?
・新興国にいかなる役割を求めるのか?
・革新的メカニズムや汚職・腐敗防止に踏み込めるか?


2.話題提供 サイモン・オルセン氏 (地球環境戦略研究機関(IGES))

(1)独立調査フォーラム(IRF)
・独立調査フォーラム(IRF)はハイレベルパネル報告書など、SDGsに関する4つの報告書の比較分析を行う。http://www.irf2015.org/
・IGESは12の構成組織のうちのひとつ。
・4つの報告書の類似点としては、1)MDGsをベースに学ぶべき、2)人間の福祉と富へ焦点がある、3)新しい課題の認識、4)誰もが参加する必要がある、5)環境・経済・社会の相互関係性。
・CSOはどのように交渉に影響を与えられるか?:1)交渉期間中-Beyond2015、ステークホルダーフォーラムなどの既存のイニシアチブに参加し、情報をインプットする。国内・国際会議に先立ち、政府へインプットする。支援団体へプロセスを伝える。2)交渉期間後-支援団体が専門とする分野は何か?どうしたら実施を助けることができるか?

(2)HLPFの機能(The Future We Want 85段落より抜粋)
・国連の機構に持続可能な開発に関する一貫性を持たせる
・持続可能な開発に政治的リーダーシップと方向性を提供する。
・メジャーグループと他のステークホルダーからの意見聴取を可能にする。
・全てのレベルにおける意思決定を強化する。
・途上国におけるデータ収集と分析能力の強化を行う。
・このようなとても広い機能をどのように確固たるものにするのかが今後の課題。

(3)HLPFへのCSOの参加について
・世界レベル、地域レベルそれぞれの会議でCSOの参加については様々な事例がある。


3.質疑応答・ディスカッション
Q.MDGsの分析がSDGに活かされているか?
A.活かされていないと思う。CSDがその役割を担うはずだが終了し、OWGは最初からテーマの議論に入ってしまった。国連レベルでなくても、NGOでもやった方がいいのではないか。
Q.PDCAプロセス、レビューは誰がやるのか?
A.昔のものを振り返らず、新しいものを作ってしまっている。誰がレビューするのか?HLPF?その下の官僚?事務局のUSDESAか?課題として残っている。
Q.MDGs(開発NGO)から見てSDGs OWGで扱っているテーマはどう映るか?
A.MDGsには無いが、既に途上国が影響を受けているテーマが含まれている。化学物質・廃棄物、持続可能な都市など。これらは重要。ただこれをどう目標にするのかが問題になる。例えば都市化への対応だとスラムの撤去は人権との兼ね合いが生じる。どう目標化するかが課題ではないか。NGOが地域の声を吸い上げていかなければならないが、できているか疑問。
Q.日本の環境省としてはSDGsにどのように取り組んでいくか?
A.2月までOWGはブレインストーミングのような状態なので、環境省としては今後どうしていくか現在検討中。


4.各地域のコメント
(1)四国 谷川徹(四国生物多様性ネットワーク 事務局)
・地域の課題を整理していくと、国際的(世界)な話と、田舎・地域の課題や大都市との関係は似ているのではないか。ただそれを直接地域の人に話しても通じない。ツールとしてのESDなどを活用し、理解を深めていく必要がある。

(2)中国 松村渉(ひろしまNPOセンタープロジェクトマネジャー)
・今日のような話は面白いが、自分の活動にどうつなげていくかが課題。
・11月29日に広島でもこのような会合を行う。今後、より中国地方の人の意識を高めていきたい。


◆開催概要
 日時:2013年10月24日(木)15:00~17:00 
 会場:GEOC(地球環境パートナーシッププラザ)
 対象:本テーマに関心のある方ならどなたでも 30名程度
 主催:環境パートナーシップ会議(EPC)
 協力:GEOC
 ※当イベントは、平成25年度地球環境基金の助成を受けて実施しました。

この記事の添付ファイル
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2013-11-7 587