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Post2015開発目標/MDGsキーパーソンインタビュー 「動く→動かす」稲場雅紀さん

Post2015開発目標/MDGsキーパーソンインタビュー
「動く→動かす」稲場雅紀さん


動く→動かす
ホームページ http://www.ugokuugokasu.jp/index2.html
facebook https://www.facebook.com/UgokuUgokasu
Twitter https://twitter.com/standup2015bot


–「動く→動かす」とは?
ミレニアム開発目標(MDGs)の普及と達成を目指して、2005年から、GCAP(Global Call to Action against Poverty:貧困をなくすためのグローバル・コール)という世界規模のネットワークがキャンペーン活動を展開しました。その日本版の運営事務局として2009年に作られたのが「動く→動かす」です。


–具体的にはどんな活動をしているのですか?
大きく分けるとふたつあります。
 ひとつは、一般向けの普及活動です。MDGs自体があまり知られていないので、その認知を拡大し、達成を目指して市民自身が声を上げることを目的に「STAND UP& TAKE ACTION」というキャンペーンを行なっています。貧困をなくすことを目指して立ち上がり、そこを写真に撮ることで誰にでも参加を呼びかけることができますし、参加呼びかけを通じてMDGsの活動を知ってもらうことにつながります。

もう一つは、提言活動です。現在、力を入れているのは、「ポスト2015開発目標」に関する提言です。国連でポスト2015開発目標の設定についての議論が行なわれていますが、そこに向けて「ポスト2015年開発枠組みに関する5か条の提言」を作成し、外務省に提出しました。
http://gcapj.blog56.fc2.com/blog-entry-288.html


–「動く→動かす」の主な加盟メンバーは?
(特活)国際協力NGOセンター(JANIC)が開発NGOのネットワークのためにつくられた常設的な団体であるのに対し、「動く→動かす」はMDGsへの取り組みの推進を目的に作られたプロジェクト型の組織といえます。多くの国際協力NGOが、JANICと「動く→動かす」の両方のメンバーになっています。
「動く→動かす」では、国際協力や開発支援に関わるNGOの他、社会的責任にかかわる企業のネットワークや青少年団体、宗教系の団体など、多くの主体に参加・協力を呼びかけています。意外と思われることも多いのですが、例えば、労働組合との連携なども行なっています。さまざまな主体を巻き込んでいくことが、MDGsの達成には必要なのです。

(現在、NGO-労働組合国際協働フォーラムのメンバーが募集されている。事務局はJANIC。詳細は以下リンクより
http://www.janic.org/news/ngo-ngo_1.php


–「ポスト2015年開発枠組みに関する5か条の提言」はどのようにつくられたのですか?
長くなく、シンプルで、より多くの人たちが理解・賛同しやすい提言文書をつくることを目指しました。今年の2月から5月まで、4か月かけて、「ナショナル・コンサルテーション」ということで、グローバル・コンパクトや労働組合、ボーイスカウトやガールスカウトなどの青少年団体、宗教系の団体など多くの人たちにヒアリングをして、それらの人たちの意見も集約したものとなっています。
この「ナショナル・コンサルテーション」はスウェーデンの国際開発庁が資金を出し、ポスト2015に関する国際的なNGOのネットワークがこれを管理する形で、日本を含む世界20か国で行われました。ポスト2015年開発目標策定の議論にはさまざまな市民セクターの参画が大切だということが、国際的にも認識されているのです。


–5か条の提言のポイントとは?
5か条の提言は、個別の分野に踏み込むのでなく、ポスト2015開発目標がよって立つべき原理、原則に焦点を当てたものです。まず、「絶対的貧困の解消」。すべての人に人権がある以上、極度の貧困にとどめ置かれる人が一人もいないようにするというのが第1条。世界的に広がる「格差」を縮め、より平等で公正な社会を目指すというのが第2条。一方、開発と持続可能性とが両立しなければならないというのが第3条。第4条は、こうしたことを実現するために、すべての人がプレイヤーになれるような民主主義、透明性、アカウンタビリティの保証されたガバナンスを求めています。そして第5条が、こうしたことを実現するための、世界的に共有された責任に基づく資金と、それを生み出すグローバルな制度(国際連帯税など)を求めるものです。

5か条の提言:
第1条:「絶対的貧困・飢餓ゼロ」を実現しよう!
=人権と「人間の安全保障」を基盤にした普遍的な目標の設定を=
第2条:世界全体で「格差と不平等のない社会」を実現しよう!
=誰もが排除されずに活動できる包括的な社会・経済を目標に=
第3条:将来世代に「より良い地球」を残そう!
=早急に持続可能な開発・経済モデルへ転換する目標の設定を=
第4条:目標の達成に向け、すべての政府・企業・市民社会が責任と役割を果たそう!
=透明で民主的なプロセスを重視した目標の設定を=
第5条:目標達成のための資金を「世界全体で分かち合う」しくみを作ろう!
=ODA0.7%目標の達成と国際連帯税・租税協力・軍事費削減で開発資金を=

(全文と賛同団体についてはこちら:http://www.ugokuugokasu.jp/pdf/pmdgs5recom_list.pdf

今後にむけて:
今後は、開発系ばかりではなく、環境系のNGOなど、より広い人たちとつながりを強化しながら、取り組んでいきたいと思っています。そのための戦略づくりを、これから具体的にすすめていけたらと思います。

(2013年9月、国連総会開催中のニューヨークにて取材。
聞き手:今井麻希子、協力:国連大学)

この記事の添付ファイル
ファイル名 掲載日 ヒット
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2013-10-3 580