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政府間交渉の限界と私たち – 現地レポート特別寄稿(2)




政府間交渉の限界と私たち
                  大橋正明 (6/20、2012)
                  NPO法人国際協力NGOセンター(JANIC)理事長
                  恵泉女学園大学国際社会学科教授

 正直言って、私自身は今回のリオ宣言の内容の大半に落胆している。
私たちが暮らすこの宇宙船地球号の危機を、先進国も新興国もその他の途上国も、真剣に対処しようとしているのか、はなはだ疑問に感じるからだ。それぞれの国や国々のグループが、それぞれ自分たちの国益や都合を優先して、みんなで一緒になって「持続可能な開発」、つまりどの人も世代を超えてそれなりにきちんと生活できるような現在と未来を作ることを、優先していないように見えるのだ。国連などを舞台にした政府間交渉の限界が露呈している。こんなパワーゲームを繰り返す余裕は、もうとっくにないはずなのに。
 乱暴な議論だが、もし世界中の人々が一人一票で投票したら、今回のリオ宣言はおそらく圧倒的に支持されないだろう。国の都合が優先され、人々、特に貧しい人々の生活の確保とその土台である人権が後回しにされているからだ。
 私たち市民社会、具体的にはNGOでも、開発系と環境系の関係は必ずしも深くない。これでは、圧倒的な大資本の力や主権国家の絶対性の前に、効果的に対応できないだろう。私はこれまでの経験から、住民の貧困を削減することはその地域の環境を守ることになると確信している。リオに参加する機会を頂いて、私はその思いを強くした。
 ここに来て丸2日、ずっとリオ。・セントロの会議場にいたので、ブラジルの様子をまだ全然見れていない。個々のフードコートに出店しているベンケイの寿司を食べたし、日本から野田首相の名代で玄葉外務大臣がここに到着したようなので、私は勝手に彼にバトンタッチして、これからピープルズ・サミットのほうに移動することにする。そっちの報告を、また送るつもりです。