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2024年度 真如苑 環境保全・生物保護 市民活動助成“地球・自然・いのちへ”助成団体レポート

真如苑助成 INDEX

2024(令和6)年度 助成団体レポート

 

【助成概要】

団体名 特定非営利活動法人 ねっとわーく福島潟
団体所在地 新潟県新潟市北区
プロジェクト名 北限のオニバスをはじめとする福島潟の希少種の保護と水辺環境の充実
助成額 800,000円

【活動の背景】

 新潟市は、信濃川(長さ、流出量日本一)、阿賀野川(長さ10位、流出量2位)といった日本有数の大河の河口に位置し、地名に「潟」がつくように市内には16の湖沼、多数の水田が存在し、新潟市域に対する湿地面積比率は約44%に上ります。新潟市内にある佐潟は、ラムサール条約「=特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約」の登録湿地であり、新潟市も“国際湿地都市NIIGATA“として湿地の有効活用(ワイズユース)に力を入れており、令和4(2022)年には「ラムサール条約の湿地自治体認証」の国内初の都市となりました。

 新潟県内最大の潟湖である福島潟は冬季になると、シベリアよりハクチョウ、ヒシクイの仲間など水辺を好む鳥が多数飛来します。またスイレン科の植物で東・南アジアに分布するオニバス(環境省レッドリスト絶滅危惧II類)は、かつては広く分布していたものの環境改変で生息域が減少し、ここ福島潟が生育北限となっています。

 こうした貴重な自然の保護を目的として、平成9(1997)年に特定非営利活動法人ねっとわーく福島潟は設立され、水辺の保護、観察(ガイド)、環境教育、生態調査など様々な活動を続けて今日に至っています。

 

【活動の概要】


 

湿地を観察するための木道の整備
 多様な植物が生育する学習園とするためには、これまで造成してきた湿地(6か所)の植栽や、湿地を観察するための木道の整備が必要です。木道がないと、観察が不便であるとともに、通路外に人が入る事で湿地が荒れてしまうため、木道の整備が不可欠です。今回は、痛んだ木道の交換のための資材費などを助成させていただき、交換作業はねっとわーく福島潟の皆さんが実施しました。

 

湿性植物の保護
 オニバスをはじめとする希少種は、条件付特定外来生物に指定されたアメリカザリガニによって幼葉の段階で食害を受けてしまいます。トラップによる駆除や、ポットによる株の育成及び植栽などを実施しました。

 

ガイド活動・環境調査の充実
 案内活動を通して、潟の自然に関心を持ち活動に加わる会員となる方も多いため、ガイド活動を充実させ来訪者の増加に対応しました。また、福島潟を取り巻く環境調査は情報発信の土台となる重要な分野でもあり、調査協力者を増やすため、学生への呼びかけを進めました。

 

【活動の様子】


 2024年12月に、越冬する渡り鳥の個体数調査に同行させていただきました。渡り鳥は、福島潟以外の日本国内の湿地で越冬することもあるため、渡り鳥の飛来状況を調査することで、福島潟の環境の状況を知ることができます。こうした調査を冬のシーズンに毎週のように実施されていて、調査区域も決まっており、どのエリアに何の種類が何羽いたかをカウントしていきます。同会の斎藤様、山本様にご案内いただきましたが、お二人は慣れていらっしゃるため、遠くにいる鳥も瞬時に見分け、記録表に数を記載していきます。素人には、オオハクチョウとコハクチョウの違いは、なかなか分かりません。
(下記の表は、当日の調査結果です)

 

福島潟周辺地域の渡り鳥の飛来状況(2024年12月22日)

オオヒシクイ 1167
マガン 118
コハクチョウ 3872
オオハクチョウ 36