本文へ

SDGsメールマガジンバックナンバーVol.8

これまでのSDGsメールマガジンのバックナンバーを掲載していきます。
今回は今年度最後となる、3月に発行された第8号です。


○━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━●
           SDGsメールマガジン
                     Vol.8 2014.3.6
                 環境パートナーシップ会議(EPC)
●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━○

もくじ
 【1】国際動向特集 OWG now!第8回OWG
 【2】国際動向特集 OWG now!OWG議長進捗レポート発表
 【3】国際動向特集 OWG共同議長発表 19の重点分野
 【4】国際動向特集 メジャーグループのポジションペーパー
 【5】国内の動き  IPCC総会横浜開催
 【6】国内の動き  ポスト2015NGOプラットフォームについて
           2/26 東京勉強会
 【7】お知らせ 第1回アジア国立公園会議(APC) 国内報告会
          その他

・。・。・。・。・。・。・。・。・。・。・。・。・。・。・。

【1】国際動向特集 OWG now!第8回OWG

2月3日から7日に、SDGsについて話し合う第8回目のオープンワーキンググル
ープ(OWG)がニューヨークの国連本部にて開催されました。
海洋、森林、生物多様性については、これらが人々の暮らしを支えるものであ
る(life-support system)であることを理解し、自然の価値を、生態系サービス
として総合的なものとして理解することの必要性や、自然資源を守ることは、
それに生計を大きく依拠する先住民族や周縁化された人たち、貧困層にとって
も重要であることなどが指摘されました。社会的衡正やジェンダー平等、女性
のエンパワメントを含む平等の推進については、教育やヘルスケア、起業を支援
するしくみなどを利用する権利における不平等を是正する必要性などが議論され
た他、性的リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(SRHR: Sexual Reproductive
Health and Rights)を盛り込むべきという点については委員の間で意見が分か
れました。
また、紛争解決、紛争後の平和構築や恒久的平和、法の原則、統治については、
紛争や法の原則・統治の不在は貧困を生み出す原因でもあり、これらの終焉が
貧困を解決する方法でもあるとし、参加型の意思決定や包括的な経済統治、
自然資源の衡正な管理などの必要性が話し合われました。また、多くの委員は、
法の原則は国家により管理されるべきという意見で合意しました。
OWG8のレポートの詳細はこちらのサイトからご覧いただけます
http://www.iisd.ca/sdgs/owg8/)。

・。・。・。・。・。・。・。・。・。・。・。・。・。・。・。

【2】国際動向特集 OWG now!OWG議長 進捗レポート発表

 8回にわたるOWGの日程が終了し、2014年2月19日に共同議長からこれまでの
OWGの進捗レポート(progress report)が発表されました。
内容は主にこれまでのOWGでの議論のテーマ別ハイライトですが、各回の終わり
に出された議長サマリーと全く同じものではなく、OWG8回分の議論の内容が反
映されています。例えば、貧困の解消の章では食料、水、医療、教育、エネルギ
ーなどの基礎的サービスへの普遍的なアクセスに加え、その質の確保が必要であ
ること、水と衛生の章では水不足と気候変動との間に強い関連があることなどが
追加されました。
 レポートの最後は、第8回までのOWGで多くの加盟国やその他ステーク
ホルダー、専門家から有意義なアイディア・提案が出されており、次の
合意形成の段階へのよい足がかりとなるだろう、と締めくくられています。

参照(原文)
“Progress report of the Open Working Group of the General Assembly on
Sustainable Development Goals”

http://sustainabledevelopment.un.org/content/documents/3238summaryallowg.pdf


・  ・  ・   ・  ・  ・  ・  ・  ・  ・  ・  ・

○OWGの報告書策定プロセスとして、第2セットのOWGが以下の日程で
行われる予定です。
 -3/3~5、3/31~4/4、5/5~9、6/16~20、7/14~18
※3、6月の日程が前号でお伝えしたものから変更になりました。

○今後の流れ
3月3日以降5回にわたるOWG会合で交渉(7月18日OWGにおいて報告書合意予定)

資金に関する報告書と共に国連に提出

10月頃事務総長による統合報告書

2015年1月以降政府間交渉

2015年9月新開発アジェンダ採択

●国連総会議長主催 ハイレベルイベント・テーマ別討議
(詳細:
https://www.un.org/en/ga/president/68/settingthestage/)


<ハイレベルイベント>
2014/3/6-7 ポスト2015開発アジェンダへの女性・若者・市民社会の貢献
2014/5/20-21 南南・三角協力と開発のためのICT
2014/6/17-18 人権と法の支配

<テーマ別討議>
2014/2/18-19 水・衛生・持続可能なエネルギー
2014/4/9-10 パートナーシップの役割
2014/4/24-25 平和で安定した社会の実現

<ハイレベル・ストックテーキング・イベント> 2014年9月


・。・。・。・。・。・。・。・。・。・。・。・。・。・。・。

【3】国際動向特集 共同議長発表 19の重点分野

 報告書を作成する次の段階に向けて、2014年2月21日にOWGの共同議長が
以下に挙げる19の項目を重点分野(focus Areas)として提示しました。
これらは加盟国が具体的な目標(goalsやtargets)に関して合意を形成して
いくうえでの資料であり、他の項目の追加を妨げるものではないとされています。
 同時に発表された文書では、貧困の解消、国内・国家間両方における不公平
の是正、環境保全の3つが持続可能な開発への喫緊の課題であることが強調され、
簡潔性、普遍性等のSDGsの原則や、適切な手段の必要性などにも言及しました。
 これらの文書に基づき、3/3~5に行われた第9回OWGから、加盟国が目標・
指標を具体化する議論が開始されています。

—Focus Areas—
1.貧困の解消 (Poverty eradication)
2.食糧安全保障と栄養 (Food security and nutrition)
3.健康と人口 (Health and population dynamics)
4.教育 (Education)
5.ジェンダー平等と女性のエンパワーメント (Gender equality and
women’s empowerment)
6.水と衛生 (Water and sanitation)
7.エネルギー (Energy)
8.経済成長 (Economic Growth)
9.産業化 (Industrialization)
10.インフラ (Infrastructure)
11.雇用と働きがいのある仕事 (Employment and decent work for all)
12.平等の促進 (Promoting equality)
13.持続可能な都市と定住 (Sustainable cities and human settlements)
14.持続可能な生産と消費 (Sustainable Consumption and Production)
15.気候 (Climate)
16.海と海洋資源 (Marine resources, oceans and seas)
17.生態系と生物多様性 (Ecosystems and biodiversity)
18.履行の手段 (Means of implementation)
19.平和で暴力のない社会、健全な社会的枠組 (Peaceful and non-violent
societies, capable institutions)


・。・。・。・。・。・。・。・。・。・。・。・。・。・。・。

【4】国際動向特集 メジャーグループのポジションペーパー

OWG共同議長によるOWGの進捗レポートを受けて、NGOメジャーグループが、
NGOにとっても優先領域やビジョンについてのポジションペーパーを発表しました。
NGOメジャーグループは、9つの優先領域を提示し、今後も、キャンペーンの
展開など、NGOならではのユニークな方法でのアプローチを展開しながらさ
まざまな方法で提言を行い参画していくつもりだとしています。
ポジションペーパーの全文はこちらのサイトからご覧ください
(http://www.worldwewant2015.org/node/425029)。
なお、3月にはステークホルダーフォーラムという団体の取りまとめによって
つくられたメジャーグループとしてのポジションペーパーが公表される予定です。

NGOメジャーグループの考える優先領域:
1.不平等の削減、社会正義の保障、貧困撲滅の保障(Securing)
2.すべての人への持続可能でクリーンなエネルギーの保障と気候の保障健康
3.持続可能な農業と食料主権(Food Sovereignty)の確保(Ensuring)
4.クリーンウォーター、衛生、水と衛生、衛生的で統合的な水管理の確保
 (Water and sanitation)
5.持続可能な自然資源管理と生物多様性とエコシステムの保全の確保
6.すべての人のヘルスケアへのアクセスの確保
7.海洋の健康と持続可能な漁業の復元
8.持続可能な消費と生産(SCP)の達成
9.持続可能な開発のための統治の実施

・。・。・。・。・。・。・。・。・。・。・。・。・。・。・。

【5】国内の動き IPCC総会横浜開催

 IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の第5次評価報告書 第2作業部会
及び第38回 総会が横浜で開催されます。IPCCが定期的に発表する「評価
報告書」は、気候変動に関する多くの専門家の科学的知見からまとめられた
もので、「第5次評価報告書」の作成は3つの作業部会(Working Group:WG)
に分かれて行われています。
 横浜では第2作業部会(WG2)が行われ、「社会・生態系など各分野の気候
変動による影響・適応・脆弱性」に関する最新の報告が公表されます。具体的
には豪雨や気温上昇による影響予測、洪水や干ばつなどの影響、動植物の減少、
人への健康被害など私たちの身近な生活にも関わる様々な報告が行われる予定
です。

○IPCC第38回総会開催スケジュール(会場 パシフィコ横浜会議センター他)

3月25日(火)~29日(土) 第5次評価報告書第2作業部会会合及び第38回総会
3月30日(日) 記者会見予定日

参照:横浜市IPCCページ
http://www.city.yokohama.lg.jp/ondan/ipcc/ipcc/


・。・。・。・。・。・。・。・。・。・。・。・。・。・。・。

【6】国内の動き レポート

 SDGs/ポストMDGsに関して、国内のNGOが様々な取り組みを行われました。
その中から、ピックアップしてレポートします。

———————————————————————-
●「ポスト2015NGOプラットフォーム」の創設

 日本のNGOでは、これまで「ポストMDGs意見交換会」としてポストMDGs、
SDGsに関心のあるNGOが緩やかなネットワークを組んで外務省とNGOとの意見交
換会を開催するなどしていましたが、新たに「ポスト2015NGOプラットフォーム」
を設置すべく準備を始めました。「ポスト2015開発アジェンダ」に関する日本
政府との交渉や、国連プロセス、国際的な市民社会の意思決定プロセスに関わ
る日本の市民社会のプラットフォームを目指しています。
 環境全般、開発全般、障害、ジェンダー、防災(災害リスク軽減)、連帯税、
ユース、地域などの分野から世話人をおき、事務局は「動く→動かす」が担う
予定です。

———————————————————————-
●持続可能な開発目標(SDGs)勉強会in東京
 「私たちのこれから:2015年以降の開発目標をヒントに考える」

【日時】2月26日(水)18:00~20:30
【場所】地球環境パートナーシッププラザ(GEOC)

 昨年3月から行われてきたOWGが一連の議論を終え、報告書策定のための第2
ステージへ突入するに際して、今までのOWGを振り返りつつ、様々な視点から
2015年以降の開発目標づくりやその過程への市民の関わりについて考える
勉強会が開催されました。
 今回の勉強会には6名のパネリストにお越しいただき、初めにSDGsを巡る
議論の振り返りと今後の動きの確認をした後、それぞれの視点からSDGsの
中身や関わり方についての発表がありました。
○SDGsの前身であるMDGsの成功と失敗:市民社会とMDGsの関わりや普及啓発
○企業の視点からのSDGs:SDに積極的な企業の増加。しかし分野・企業規模等
に偏りがある。
○人々にSDの重要性を伝える広報の視点:様々な指標・可視化でわかりやすく。
○地域の活動とSDGs:SDGsを知らない人がほとんどだが、その活動はSDの
モデルになる。
○地域の意見や現状の共有⇔外からの仕組み・アイディアの提供:情報交換・
ネットワークが重要

 その後参加者を交えた意見交換を行い、開発目標策定プロセスへの市民の
関わり方や、その難しさ等への言及がありました。国際会議においては、
メジャーグループなどによって市民の意見は取り入れられていると言えますが、
それらが多様な意見を反映できているかどうかは疑問が残ります。市民全員
の意見を代表するのは不可能であり、「市民」と一言ではくくれない難しさ
を感じました。
 SDGsという非常に範囲が広く、関わるアクターも多い目標について考えて
いくうえで、様々な意見を持つ人々と交流し情報を交換する機会は今後
ますます重要なものになっていくと思われます。


・。・。・。・。・。・。・。・。・。・。・。・。・。・。・。

【7】お知らせ

●ジオエンジニアリング(気候工学)の最新動向と課題
~技術リスクガバナンスと持続可能な経済社会~
【日時】3月10日(月)18:45~20:45
【場所】ベルサール九段 3階 Room 1(千代田区九段北)
【主催】グリーンエコノミーフォーラム
【協力】「環境・持続社会」研究センター(JACSES)
【詳細】http://geforum.net/archives/472

———————————————————————-
●第1回アジア国立公園会議(APC) 国内報告会
【日時】3月13日(木)13:30~16:30(開場13:00)
【場所】国連大学エリザベス・ローズ会議場(渋谷区神宮前)
【主催】世界保護地域委員会日本委員会(WCPA-J)、国連大学サステイナビリティ
高等研究所(UNU-IAS)、環境省、地球環境パートナーシッププラザ(GEOC)
【詳細】http://www.geoc.jp/news/22183.html

———————————————————————-
●やるのは私だ!若者主役の未来を考える勉強会
~未来を真剣に考えアクションするユース大集合!~
【日時】3月15日(土)14:00~16:30(開場13:30)
【場所】中央区立環境情報センター 研修室1(中央区京橋)
【主催】国際青年環境NGO A SEED JAPAN
【詳細】http://www.aseed.org/2014/01/2592/

———————————————————————-
●SDGs(持続可能な開発目標)報告書交渉開始連続イベント
「ポスト2015枠組・SDGsの最新動向・課題
~国際交渉本格化を目前に、現行MDGsの教訓から、
新目標の具体化・日本/各セクターの役割を考える~」
【日時】3月19日(水)18:00~21:00
【場所】ベルサール神田 3階 Room 1(千代田区神田美土代町)
【主催】グリーンエコノミーフォーラム
【協力】「環境・持続社会」研究センター(JACSES)
【詳細】http://geforum.net/archives/484

———————————————————————-
●上映会「空気を売る村」監督&現地NGOが語る気候変動対策の真実
~途上国の森を守ってCO2削減、それってほんま?~
【共催】国際環境NGO FoE Japan、認定NPO法人環境市民、京のアジェンダ21
フォーラム、(特活)ボルネオ保全トラスト・ ジャパン、ウータン・森と生活
を考える会
【協力】パタゴニア京都、認定NPO法人気候ネットワーク、Climate Youth
Japan
【詳細】http://www.foejapan.org/climate/doc/evt_140319.html

(1)京都会場
【日時】3月19日(水)19:30-21:30
【場所】パタゴニア京都 (京都市中京区)

(2)名古屋会場
【日時】3月22日(土)13:00-16:00
【場所】JICA中部(名古屋市中村区)

(3)東京会場
【日時】3月24日(月)19:00-21:00
【場所】日比谷図書文化館 小ホール(千代田区日比谷公園)

———————————————————————-
●循環型社会構築のための目標と持続可能な生産・消費に向けた取組み
~循環型社会基本計画・資源生産性等の目標とSDGs~
【日時】3月26日(水)18:30~21:00
【場所】ベルサール九段 3階 Room 2(千代田区九段北)
【主催】グリーンエコノミーフォーラム
【協力】「環境・持続社会」研究センター(JACSES)
【詳細】http://geforum.net/archives/497

———————————————————————-


ふと空を見上げると梅の花が咲いていたり、小鳥の声がにぎやかになった
ように思います。少しづつ春の足音が聞こえてきましたね。
本メールマガジンの編集チームでは、就職や留学など人生の新たなステージ
に進むメンバーもおり、このチームでの発行は今月号が最後になります。
また、新たなチームで2014年、2015年に臨んでまいりたいと思います。
引き続きどうぞよろしくお願いいたします。


 最後まで、読んでいいただきありがとうございます。
 メールニュースを直接購読ご希望の方は申込フォーム
http://bit.ly/17jRn5D )よりご登録ください。

○・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・●
 発行:一般社団法人 環境パートナーシップ会議(EPC)
 編集:編集チーム
    (北橋みどり、江口健介、姜そんう、今井麻希子、福島宏希、西本多恵)
 URL:http://sus-cso.com/ E-mail: rio20@epc.or.jp
●・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・○
  Copyright (C)環境パートナーシップ会議  All Rights Reserved.