本文へ

ユースの活動 ロビー、今後に向けて ―現地レポート8

こんにちは。NGO連絡会/Climate Youth Japanの廣瀬です。

●ロビー活動



まずは、ユースが行なったロビー活動についてご紹介します。
ロ ビー活動とは、自分たちの主張を取り入れてもらうため、交渉官に対して直接話しかける活動を指します。例えば、会議が終わり交渉官が部屋から出てきたとこ ろに話しかけていき、彼らの立場を変える、あるいは彼らの立場を支持するために自分たちの意見を直接伝える、というのが典型的なロビー活動です。
MGCYとして行なったロビー活動の中で以下の3点が大きな論点となっていました。
1)ノンフォーマル教育
2)グリーンジョブ
3)将来世代のプロセス参加
特 に3点目の将来世代のプロセス参加においては日本ユースも注目していた点でした。というのも、3月時点での文書では、「将来世代の高等弁務官」設立に関す る議論がされていたのですが、そのニュアンスが徐々に弱くなり、6月16日の時点では、将来世代のプロセス参加に関する文言が全くなくなってしまいまし た。
その文書が出てきてすぐに、メーリングリスト上で「ロビーをしよう!」という機運が作られ、会場中でユースから反対国に対するロビー活動が行なわれました。
17 日には、口にテープを張って列を作る「Silent Action」が行なわれ、多くのメディアに報道されました。これらの活動の甲斐あって、最終文書には「将来世代のニーズに考慮し、持続可能な開発の達成 のための世代間連帯の促進を図り、並びにその点に関する国連事務総長によるレポートを発表するよう勧める」という文言が入りました(以下参照)。
パラグラフ86
We will also consider the need for promoting intergenerational solidarity for the achievement of sustainable development, taking into account the needs of future generations, including by inviting the Secretary General to present a report on this issue.
また、この将来世代のプロセス参加に関して MGCYでリーダーシップをとっているAlice Vincent(World Future Council)は、「事務総長の出すレポートにおいて、高等弁務官もしくはそれに代わる機関について触れさせることが次のステップ」と話していました。
僕もいくつかのロビー活動に携わる中で、1)刻一刻と変化する情報の中で自分に必要な情報をピンポイントで掴み、2)戦略的に対象国へアプローチしていくことが国際会議におけるロビー活動において大切だということを感じました。

●今後に向けて-国際ユースの動き
今後のユースの活動について、僕個人の見解と共にご紹介します。
会 議の最終日、メーリングリスト上では今後のユースの連携についての発信が目立ちました。UNCSD(国連持続可能な開発委員会)やUNFCCC(国連気候 変動枠組み条約)、生物多様性条約(CBD)などの文脈におけるユースのミーティングが持たれ、今後のスケジュールの確認やユースとして何が出来るのか・ 求められているのか、といったテーマの意見交換が行なわれました。
MGCYのIFSD(持続可能な開発のための制度的枠 組み)タスクフォースでは、前回紹介した将来世代のプロセス参加に関して、国連事務総長より発表されるレポートに対して何ができるかという点について議論 し、MGCY内でもすでに次のステップを議論しているミーティングもありました。
また外のスペースを使ったスピードデー ト形式のネットワーキングイベントも開催され、突発的なイベントにも関わらず40名ほどの参加者が集まりました。参加者からは、「数日間ずっと忙しく、 ゆっくり話す機会がなかったので参加して良かった」、「こんなに面白い人たちがいるのに今まで全く話してなかったなんてもったいない!」といった声が聞か れました。
世界中の同世代の仲間と自分達の未来について議論し、活動した2週間を通じて、「もっと自分も頑張らなけれ ば」という刺激をもらった同時に、より良い未来を作るための勇気をもらったと思います。世界にはこんなにたくさんの情熱を持ったユースがいるということを 知れただけでも良い時間をブラジルで過ごすことが出来たと個人的には思っています。

●日本ユースに求められるもの
最後に、アドボカシーにおいて日本ユースに求められるものについて、Rio+20の参加を通じて感じたことを共有しようと思います。
大きく分けて2点あります。
まず一つ目は、ネットワーキングです。国内にあるユースがそれぞれ同じ問題に関心を持つ者同士で集まり、議論し、意見発信を行っていくことが求められています。そのためには、ネットワークを組み、一定の(ゆるやかな)組織体制を組む必要があると思われます。今回の会議においては、1)参加決定が直前となったこと、2)そもそも関連する活動家の関心が低かったことなどの要因で、「Japanese youth」としての意見を発信することが出来ませんでした。
二つ目は、そのネットワークを組むためのリーダーシップです。いくら同じ問題意識を持っている仲間がいても、その点と点を結ぶリーダーシップを取る人が必要になります。今後日本ユースとして意見発信をすべきタイミングがきた際にも、一人もしくは吹く数人のキーパーソンによるイニシアティブやリーダーシップが求められます。国際レベルで言えば、10月東京で行われる世銀/IMF総会、11月にインドで行われる生物多様性条約の会議、そして気候変動枠組み条約の会議などがあり、国内ではエネルギー政策の問題があります。
これら2点の課題を克服するためには、より多くのユースが海外へ出て行くことが求められていると個人的に感じます。それは国際会議に限らず、留学、ワーキングホリデー、旅行、バックパックなど、様々な目的が考えられますが、海外に行くことで、「外からの日本」について考え、「世界の中の自分」を見つめる良い機会を得ることができます。
それを経て、国際規模の課題、国内・地域の諸課題に取り組んでいくことがより良い人材を輩出することにつながり、より良い未来の創造につながるのだと信じています。